目次
1.不眠はイライラや免役力低下につながる。
2.睡眠のサイクルは90分毎にやってくる。
3.朝は自律神経の切り替わりの時間
4.睡眠時間は気にしすぎない方がいい
5.横になって寝ることを試してみよう
1.不眠はイライラや免役力低下につながる。
皆さん、1日の睡眠時間は何時間ぐらいでしょうか。
厚生労働省の調査では1日の睡眠が6時間未満の人が4割近くいるそうですが、概ね、一日の平均睡眠時間は6~8時間と言われています。
一日は24時間ですので、文字通り一日の三分の一を睡眠に費やしています。睡眠不足がつづくと、見なさんも経験があると思いますが体が重かったり、頭痛がっしたり、ひどい眠気におそわれることがあります。
また、精神面でも不安やイライラなどといった気分の不安定な状態を作ってしまいます。
慢性の不眠症が持続すると精神科や心療内科で病名のつくような、気分障害、不安障害の発症につながるばあいもあります。
最近の研究では、睡眠不足により扁桃体活動の調節異常が生じ、ネガティブな情動刺激に対する扁桃体の過剰反応が生じるということもいわれております。
扁桃体は視床下部などの免疫や自律神経などを司る部分との関連があり、扁桃体が過敏な状態が続くと、免疫力の低下し風邪をひきやすくなる可能性もあります。
2.睡眠のサイクルは90分毎にやってくる。
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠という二つの睡眠の種類があり、サイクルは90分毎に訪れるとされています。
PETやMRI検査によってレム睡眠のときに扁桃体などの大脳辺縁系の活動が活発になるということが報告されていますので、睡眠をうまく活用し扁桃体を整えることができます。
先ほどの90分サイクルから考えると、日本人のライフスタイルなどを考えると理想的な睡眠時間は最低でも6時間ないし7時間半は確保したいところです。
3.朝は自律神経の切り替わりの時間
日常生活を見ても、寝起きが悪い人は感情的な人が多く、寝起きの人に不用意な発言をするのは良くないことが多いものです。
睡眠と覚醒は一日のうちでもっとも自律神経の切り替えがドラマチックに変わる瞬間です。
自律神経は前述のように扁桃体と密接な関係を持っています。寝起きに体内の切り替えがうまくいっていない扁桃体が過敏となり、イライラや不安の原因となります。
朝からすっきり目が覚めて行動的な人はいつも穏やかで健康てきです。
良い睡眠をとるようにいろいろな方法を試した方も多いでしょうが、扁桃体とういう点から睡眠に関して意識していただきたいのは眠ることよりも起きることから考えるということです。
起きてから行動が定まっていないと睡眠の効果も半減してしまいます。
起きてからの行動が決まっていれば、自律神経のスイッチを切り替えることも自然とできますので、睡眠時間の確保とは別の重要な生活習慣となります。
睡眠をととりすぎたり、だらだらと寝たり起きたりを繰り返すことはよくありません。
寝ること自身体も身体にとっては負担となります。ご高齢の方にお話を聞くと、年を取ると寝ることすらも大変だとおっしゃられます。
4.睡眠時間は気にしすぎない方が良い
先ほどのように目安としては6-7時間程度の睡眠時間が良いのですが、私たちの日中の行動がいつも同じではないため睡眠時間も合わせて調整するべきです。
睡眠時間を気にしすぎる人は多くいますが、実際の健康への影響はわかっていない点も多々あり、極端な報告かもしれませんが、一日の断眠でさえ血中のストレスホルモン影響はなかったという報告もあります。
5.横になって寝ることを試してみましょう
睡眠時間が不規則な方は、寝方に少々コツがいります。
多くの人は寝るときにあおむけになって寝ていると思いますが、寝るときは横向きの方が翌日の切り替えに対して有効です。
特に右を下にして寝ることで交感神経の機能が低下するのではないかという指摘もあります。
はっきりとは結論は出ておりませんが、心臓の負担を考えると右下向きがよいのではないかという意見と胃腸などを考えると左下がいいのではないかともいわれます。
江戸時代の健康本である養生訓には右下に寝ることを獅子眠として紹介しています。また、日本にもよくある涅槃仏(釈迦が入滅する様子を仏像としてあらわしたもの)などは右下向きでで寝ているようですので昔から右下向きというのは悪くない眠り方と考えられます。
おむけで寝ている人が大多数ではありますが、年齢とともに横向きで寝る人が増えるというデータもあります。
寝返りに関してはあおむけより横向きの方がしやすいですので、睡眠に対して何か変えたいと思っている人は一度横向きで寝ることを試してみてください。
近年増えている睡眠時無呼吸症候群というものがあります。
あおむけで寝ている状態で舌が喉に落ち込んでしまうことで呼吸がしづらくなります。これも、横向きで寝ることや寝返りを打つことで改善する場合があります。
睡眠というと頭をいかに休ませるかというように考えがちですが、日中頭のわがままにつき合わされて疲弊した身体とセンサーを休ませると考えるようにしましょう。
身体にとって休みやすい姿勢を意識することが重要です。
一般に健康的な生活を送っている人というのは、なるべく睡眠時間を削るような行動を慎もうとします。これは私たちが長い年月をかけて、経験的にも扁桃体を過敏にしてしまうことが日々の生活の中でマイナスに作用することを知っているからかもしれません。
参照:
1. 生物学的問題としての睡眠 睡眠研究の最先端の概観(Sleep as a biological problem: an
overview of frontiers in sleep research)(英語)
Kanda Takeshi(International Institute for Integrative Sleep Medicine(WPI-IIIS), University of Tsukuba), Tsujino Natsuko, Kuramoto Eriko, Koyama Yoshimasa, Susaki Etsuo A., Chikahisa Sachiko, Funato Hiromasa
The Journal of Physiological Sciences(1880-6546)66巻1号 Page1-13(2016.01)
Kanda Takeshi(International Institute for Integrative Sleep Medicine(WPI-IIIS), University of Tsukuba), Tsujino Natsuko, Kuramoto Eriko, Koyama Yoshimasa, Susaki Etsuo A., Chikahisa Sachiko, Funato Hiromasa
The Journal of Physiological Sciences(1880-6546)66巻1号 Page1-13(2016.01)
2.
【睡眠と夢】 REM睡眠の神経機構と夢見
小山 純正(福島大学 共生システム理工学類)
睡眠医療(1882-2096)9巻4号 Page499-507(2015.12)
論文種類:解説/特集
小山 純正(福島大学 共生システム理工学類)
睡眠医療(1882-2096)9巻4号 Page499-507(2015.12)
論文種類:解説/特集
3. 睡眠・覚醒およびレム睡眠中の自律神経系変動に対する扁桃体亜核の役割
西村 邦広(福島大学 共生システム理工・神経生理), 春山 直人, 青柳 俊史, 小山 純正
日本生理学雑誌(0031-9341)77巻2号 Page50(2015.03)
西村 邦広(福島大学 共生システム理工・神経生理), 春山 直人, 青柳 俊史, 小山 純正
日本生理学雑誌(0031-9341)77巻2号 Page50(2015.03)
4.
睡眠障害の脳画像研究
中村 真樹(絹和会睡眠総合ケアクリニック代々木), 井上 雄一
臨床神経生理学(1345-7101)42巻1号 Page11-20(2014.02)
中村 真樹(絹和会睡眠総合ケアクリニック代々木), 井上 雄一
臨床神経生理学(1345-7101)42巻1号 Page11-20(2014.02)
5.
レム睡眠の自律神経系変動における扁桃体の役割
西村 邦広(福島大学 共生システム理工), 春山 直人, 小山 純正
日本生理学雑誌(0031-9341)75巻2号 Page68-69(2013.03)
西村 邦広(福島大学 共生システム理工), 春山 直人, 小山 純正
日本生理学雑誌(0031-9341)75巻2号 Page68-69(2013.03)
6.https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-21590250/21590250seika.pdf
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