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2018年6月10日日曜日

扁桃体の働きと、鍛え方

<目次>
        1.脳の働きについてのお話
        2.大脳新皮質の3段階の働き
         3.記憶や感情の中枢は大脳辺縁系
         4.扁桃とは俗に言う「アーモンド」のこと
        5.サルはなぜ恐怖を感じなくなったか
        6 .扁桃体を鍛える6つの方法


1.脳の働きについてのお話

 脳は体重の約2%程度を占めていると言われます。単純計算をすると、60kgの成人では約1200gということになります。男女差はありますが、一般的に12001500gです。ご存知の通り、私たちの脳はあらゆる情報を受けております。脳は複雑な情報をやりとりしながら、私たちの心や体をコントロールしているのですが、多岐にわたる異なった働きを持つ部分で構成されています

脳は分け方によって分類がいろいろある

 大まかに分類すると、大脳(思考や理性)、小脳(運動と調節を行う)、間脳(感覚の中継点、ホルモン、自律神経に関係)、脳幹(生命の維持を行う)という部位から成り立っています。

【脳の働き】

 ①   大脳 思考や理性

 ②   小脳 運動の調節

 ③   間脳 感覚の中継点、自律神経に関係

 ④   脳幹 生命の維持を行う

 ちなみに、大脳は脳の中で一番広い領域で、全体の約80%を占めています。大脳の表面は大脳皮質という構造になっています。大脳には、ニューロンと呼ばれる多くの神経細胞があります。全身からさまざまな情報がニューロンに送られ複雑なやり取りを行っています。大脳だけでも数百億個のニューロンがあります。大脳は構造として、大脳新皮質、大脳基底核、大脳辺縁系といった構造からなっています。大脳の発達はヒトの発達そのものであるように、ヒトとしての最も特徴的な構造となります。

【大脳の分類】

 ①   大脳新皮質 

 ②   大脳基底核 

 ③   大脳辺縁系

 さらに、大脳新皮質は、前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉に分類できます。

【大脳新皮質の分類と働き】

 ①   前頭葉 思考、理性

 ②   頭頂葉 皮膚、筋肉など体の各部位の感覚情報の処理

 ③   側頭葉 記憶、聴覚、嗅覚の情報の処理

 ④   後頭葉 目から入った情報の処理

 左脳、右脳という言い方もありますがこれは大脳新皮質を右と左に分けた時の呼び方です。

2.大脳新皮質の3段階の働き

 大脳新皮質は、一般的に大脳皮質などと同様に扱われますが、ここでは大脳新皮質として説明します。大脳新皮質は私たちの頭の中で、さまざまな体の外からの刺激や不安や恐怖などの感情的な出来事を理解し判断することを日々行っております。人間が人間として社会を作ることができたのも大脳新皮質の存在が大きいところです。大脳新皮質は大まかに3段階のステップを踏んで私たちの普段の行動をコントロールしています。

①目で見たり耳で聞いた刺激は視床から感覚野へ伝わる

 目で見たり、聞いたり、触った感覚といった全身のあらゆる感覚は、感覚の中継点ともいうべき視床という場所を経由した後、大脳新皮質にある一次感覚野という場所に届きます。一次感覚野は他の領域と比較して最初に情報が届く場所と考えていただいて差し支えありません。ただし、一次感覚野に情報が届いた情報は外から伝わった情報そのものです。意味づけがされていない情報になります。

②感覚野から伝わってきた情報は連合野を通して判断する

 一次感覚野に情報が届いた意味づけされていない情報は、情報の内容を理解したり、整理したりするために連合野と呼ばれる場所に送られます。連合野は、私たちの記憶にもっともかかわりがあるとされる海馬と密接なやりとりをおこなっており、目の前の物体が過去の記憶などと照らし合わせて判断をおこないます。連合野には空間を認識する頭頂連合野、色や形を認識する側頭連合野、判断、意思決定を行う前頭連合野があります。

③連合野で判断した内容にしたがって行動をおこす

連合野で認識された情報は、運動野へ送られます。運動野では具体的な行動を起こすための命令が下されます。茶碗に入ったご飯を認識して、お箸を使って飯を口へ運ぶなどと言ったような具体的な行動です。

3.記憶や感情の中枢は大脳辺縁系

 「だいのうへんえんけい」と読みます。英語ではlimbic systemと言います。大脳は構造として、大脳新皮質、大脳基底核、大脳辺縁系といった構造からなっています。大脳辺縁系は、海馬、脳弓、歯状回、扁桃体、中隔、乳頭体などの総称です。報酬系にかかわる側坐核は大脳辺縁系には含めません。 大脳辺縁系は感情の中枢ともよばれます。また、短期記憶、長期記憶にも深いかかわりがあります。大脳辺縁系と大脳新皮質とのネットワークは複雑に張り巡らされており、大脳新皮質の多くの部分に大脳辺縁系が影響を与えていることがわかっています。大脳辺縁系の代表格的な構造物として海馬と扁桃体があります。海馬は私たちの記憶にかかわりの深い場所です。最近の記憶ブームなどで注目されています。扁桃体は恐怖に関わる場所です。快不快を判断する装置のような働きがあります。好き嫌いの中枢とも言えます。

4.不安や恐怖の正体である扁桃体について

 不安の正体である扁桃体とも呼ばれる扁桃体ですが、扁桃体は好き、嫌いといった評価を行っている脳の場所です。扁桃体は脳の中に左右に1か所ずつあります。側頭葉の内側にあたります。脳の中心よりはすこし前の方にあります。大きさは1.5cmほどです。「扁桃」とは俗に言う「アーモンド」のことです。英語では「amygdala」と言います。私たちは毎日たくさんのことを憶えながら生活しています。脳はさまざまなことをそのまま記憶することができます。

扁桃体の発生の仕方は特徴的である

 哺乳動物の扁桃体というのはどこから発生してくるのでしょうか?扁桃体の発生について考えてみました。発生の段階を見ていくと、「終脳が内側に折り返して隆起した部分」と表現できます。終脳とは聞き慣れない言葉ですが、成人でいうところの大脳と同じです。つまり、扁桃体とは「大脳の折り返し部分」ともいえます。神経系の発生についてもう少し詳しく考えてみましょう。私たちヒトのように背骨があるような動物、いわゆる脊椎動物では受精卵から成体になる発生の一連の流れの中で、神経管と呼ばれる管状の構造物を作ります。神経管の説明をします。一言でいうと、脳や脊髄の基となる構造です。神経「管」という名前の通り「くだ」となっておりますが、この管の最も口側にできるのが「終脳」となります。そして、神経細胞の集合した神経節丘という部分を作ります。扁桃体はこの神経節丘の一部から生じ、側頭葉が発達してくると、神経節丘の後腹側が前方に移動します。その結果として、側脳室下角の前端の前上部に位置し、側頭葉前部の海馬旁回鈎と呼ばれる場所のすぐ下側にみられるようになります。このように「大脳が折り返したような場所」という特殊な環境に扁桃体があるというのは重要なことです。

扁桃体はたくさんの異なる神経核群からできている

 ヒトの扁桃体は複数の異なる神経核群からできていてまだ働きも不明な場所が多くあります。神経核とは、主に灰白質という神経細胞の細胞体が集まったものからなり、さまざまな神経系の分岐点や中継点となっている神経細胞群のことです。神経細胞の集まりが複数に分かれているということになります。扁桃体は、深部核として4つ、表在核として5つ、その他が4つの13の領域に分かれています。

【扁桃体の神経核】

 ①外側核

  • 外側核はさらに背側領域、背側中間領域、腹側中間領域、 腹側領域にわかれる。霊長類では扁桃体内のすべての神経核に投射している。
 ②基底核
  • 基底核は大細胞領域、中間領域、小細胞領域に区分される。外側核に投射する多くの皮質領域に投射繊維を送り、扁桃体と大脳皮質の感覚情報の流れがループ状に完結する。
 ③副基底核
  • 深部基底核の最も内側。大細胞、小細胞、腹内側領域に小区分される。中心核から強い投射を受けている
 ④髄板傍核
  • 扁桃体神経核との神経結合にかんする情報は少ない。
 ⑤内側核
  • 扁桃体の尾側に位置する。内側核への強い投射は外側核からである。基底核、副基底核、扁桃体周囲皮質から投射を受ける。皮質核、扁桃体周囲皮質、中心核、扁桃体海馬野に投射する
 ⑥前皮質核
  • 外側核、副基底核、内側核、中心核から投射を受ける。
 ⑦後皮質核
  • 外側核、副基底核、内側核、扁桃体周囲皮質から投射を受ける。
 ⑧外側嗅索核
  • ラットやネコで際立った神経核。外側核、基底核から弱い投射がある。
 ⑨扁桃体周囲皮質
  • 側核、基底核、副基底核、内側核、中心核から投射を受ける。基底核、副基底核、内側核、後皮質核、中心核に投射している。
 ⑩前扁桃野
  • 外側核と中心核から投射を受ける
 ⑪中心核
  • 中心核は他の扁桃体からの投射を強く受ける神経核の一つ。内側領域は基底核や副基底核から強い投射を受ける。外側核は内側核、扁桃周囲皮質から弱い投射を受ける。前皮質核、扁桃周囲皮質、前扁桃野、および扁桃体海馬野へ投射している。
 ⑫扁桃体海馬野
  • 正確な投射は不明
 ⑬介在核
  • 外側核、副基底核
参照:ヒト扁桃体研究ハンドブック





5.サルはなぜ恐怖を感じなくなったか


 「怖いことの記憶」に関しては少し特徴があります。私たちの脳は怖いと感じた出来事があったとき、その出来事の詳しい内容を全て記憶したうえで行動しているわけではありません。すべての怖い体験を記憶して生活しているわけではありません。かわりに怖さという感情の部分の快、不快を扁桃体で判断しています。例えば、サルは天敵である蛇には近寄りません。蛇そのもののだけでなく、蛇を思い浮かべるような太くて長いヒモ状のものにも警戒をします。このようなことは私たちも同じです。不意に蛇のような太くて長いヒモが飛んでくると、蛇に出会ったときのように思わずのけぞってしまいます。これは長いヒモ状のものを見たら蛇かもしれのないため、不快なものであると扁桃体が判断しているからです。扁桃体は脳の中の側頭葉と呼ばれる部分の内側にあります。側頭葉を手術で切り取られてしまったサルを使ってどのような反応があるかが詳しく研究されています。側頭葉とともに扁桃体が切り取られてしまったサルは恐れに対する反応がなくなってしまいます。扁桃体のはたらきが失われてしまうといつもは怖くて近寄らないものにも何のためらいもなく近づいてしまいます。扁桃体が壊れてしまったサルはお腹が空いたときに単なる棒切れや生きたネズミなどさまざまなものを警戒せず口にしたそうです。さらには生きた蛇を口に運んでしまったそうです。扁桃体が壊れてしまった病気のことを報告者の名前をとってクリューバー・ビューシー症候群と呼んでいます。このような報告から、扁桃体は恐怖や不安といった感覚を作り出すためにとても重要な場所であることがわかっています。


自律神経失調症と扁桃体の深い関係


 「自律神経失調症」というものがあります。自律神経は全身のあらゆる器官を調整、コントロールしている神経です。私たちの身体は普段から意識できる身体の反応と意識できない身体の反応のバランスで成り立っています。運動をしようと思い、自らの手や足を動かしながら散歩をするという動作は自分の意識でコントロールすることが可能です。しかし、散歩の間に心臓の心拍数を調整して身体中に必要な血液を送ったり、体温を下げようと汗をかいたりということは、自分の意志ではできません。また、食事をとろうとしたときに口に物を運んで飲み込むまでは意識的にできますが食べ物を消化したり、吸収したりといった身体の活動は意識的には出来ません。無意識のうちに私たちの心臓や肺、腸などの内臓の働きを整えてくれている大事な神経が自律神経です。このように全身の多くの場所を調整しているのが自律神経ですが、一度バランスが崩れると体のさまざまな場所に影響がでます。日常診療でよくみかけるのは、だるさや慢性的な疲労、めまい、動悸、不眠などの症状を長く訴えている患者さんです。扁桃体は自律神経の中枢である脳の中の視床下部と深いつながりがあります。扁桃体が過敏となり不安な状態が長く続くと、自律神経が乱れの原因となるのです。


扁桃体と自律神経の絶妙なバランス

 律神経は二つの神経からできています。ひとつは、身体が活発に活動するときや一日で言えばお昼のあいだに主役となる交感神経とよばれる神経です。もう一つは、リラックスしているときや特に夕方から夜にかけて主役となる副交感神経と呼ばれる神経です。この二つはお互いに興奮と安静と言った反対の変化を身体に起こし、バランスを取り合いながら私たちの健康を維持しています。自律神経のコントロールが上手くいかないと、急に心臓がドキドキするといった症状や、お腹の張りや便秘、下痢と言った胃腸の症状は有名です。


そのほかにも、汗が多く出る多汗という症状もあります。もともと、身体のバランスを維持するために身体中に張り巡らされた神経でありますので不調をきたす範囲が広いのも特徴です。よく、交感神経は身体のアクセル、副交感神経はブレーキであるなどと言われることがあります。実際にそのようなイメージです。例えば、交感神経だけが強く働いていると自律神経はバランスをとりますので副交感神経が相対的に働きを弱めます。これを交感神経が優位な状態と表現します。逆に副交感神経の働きがメインとなるときは交感神経が弱まっていますので副交感神経優位と表現できます。扁桃体が過敏となると、交感神経が優位となり、自律神経が乱れの原因となります。自律神経のバランスを整えることを考えると扁桃体は密接な関係にあることがわかります。


扁桃体視床下部自律神経全身のバランスを維持


自律神経と免疫力のきってもきれない関係


 私たちの身体では副交感神経の機能が低下してしまうときは免疫力が落ちている可能性があります。副交感神経の働きが低下して、交感神経優位の場合になると免疫力にどのような影響があるのでしょうか。実は交感神経が優位になると血液の中でウイルスなどと闘う細胞であるリンパ球が減少することが知られています。リンパ球は白血球の一つです。白血球の中の2~4割程度を占めます。その働きとしては、細菌やウイルス、カビなどの真菌に対する防御を行います。リンパ球が減ってしまうと風邪をひくリスクとなります。風邪の原因はウイルスによるものがほとんどだからです。普段は自律神経のバランスが保たれているため、リンパ球数もしっかり保たれているため問題がないのですがひとたび副交感神経の活動が弱まりリンパ球の働きが低下するとウイルスに対しての抵抗力が減ってしまうのです。ご存知のように、世の中には、風邪を治すような特効薬は存在しません。ウイルスに対して効果がある薬はインフルエンザなど特殊なものを除けばないのが現状です。風邪に関しては抵抗力を落とさないように内側の環境を維持することが重要なのです。体の内側のコントロールをしっかりするためには自律神経が乱れないことが必要です。


扁桃体が作る不安は自律神経を乱す原因


 不安は自律神経を乱す原因となることがわかっています。不安を抱く場合には自律神経の中でも特に交感神経が過剰となりますので免疫力の低下に気を付けなければなりません。もともと交感神経は敵と戦うときに必要な神経です。たとえば敵を見つけて戦う時に、手に汗握るという表現がありますがこれは交感神経が亢進することで起こった発汗によるものです。相手をしっかり掴む場合や、周りのものを掴むときに手汗が重要であったと研究している方もいます。また、全身の筋肉に血液を送るために心臓をたくさん動かすなど臨戦態勢に入っていきます。一方で、交感神経が過剰になって外側の敵ばかりに目を向けていると内側にスキが生じます。敵と戦っている最中には、内側の小さな敵、たとえば細菌やウイルスに付け入られてしまうことがあります。今まさに大きな敵と闘っているのですから、目に見えない小さな敵と闘っている余裕がないからです。交感神経の緊張により免疫機能が低下するという理由もうなずけます。不安を抱いた場合のように、敵が目の前にいないのに、臨戦態勢に入っても免疫機能が低下してしまいます。不安や恐怖は扁桃体が過敏になった状態ともいえますので扁桃体の働き方次第では免疫力が低下してしまう可能性があります。扁桃体が過敏になるのを防ぎ不安を起こりにくくする生活習慣が大事となります。


6.扁桃体を鍛える6つの方法


 扁桃体が過敏となる状態を防ぎ自律神経のバランスを整えることに、重要となってくるのは視覚、嗅覚、味覚、聴覚、触覚といった五感です。例えば、ラベンダーの匂いを嗅いだときに、瞬時に心地よいものであると判断され、身体にリラックス効果をもたらすのも扁桃体です。匂いという刺激が身体にとって心地よいものかそうでないかの判断がなされたからです。扁桃体には、匂い以外にも、光、音、味など身体のあらゆる場所から刺激が入ってくるようにできています。扁桃体はこのさまざまな外からの刺激の快、不快を判断する働きを使って身体のバランスをとっています。身体の健康は外側の環境と内側の環境を意識することが必要ですが、扁桃体は外側の環境の変化からくるさまざまな刺激を判断する門番のような臓器と言えます。不安によって扁桃体が過敏にならないようにいろいろ考えるのではなく、視覚、嗅覚、味覚、聴覚、触覚といった感覚の刺激を利用して扁桃体が過敏にならないようにすることがポイントとなってきます。


一般的に推奨されている扁桃体を鍛える方法


インターネットや書籍などによると、扁桃体を鍛える方法として、感情を表に出す、自然を感じる、笑う、たんぱく質をとるなど多くの方法が紹介されています。今回はそのような方法に加え下記の6つの方法をご紹介します。


睡眠をしっかりとる


 1日の睡眠時間は何時間ぐらいでしょうか。厚生労働省の調査では1日の睡眠が6時間未満の人が4割近くいるそうですが、概ね、一日の平均睡眠時間は6~8時間と言われています。一日は24時間ですので、文字通り一日の三分の一を睡眠に費やしています。睡眠不足がつづくと、見なさんも経験があると思いますが体が重かったり、頭痛がしたり、ひどい眠気におそわれることがあります。また、精神面でも不安やイライラなどといった気分の不安定な状態を作ってしまいます。慢性の不眠症が持続すると精神科や心療内科で病名のつくような、気分障害、不安障害の発症につながるばあいもあります。最近の研究では、睡眠不足により扁桃体活動の調節異常が生じ、ネガティブな情動刺激に対する扁桃体の過剰反応が生じるということもいわれております。


②視覚の刺激が強いテレビよりラジオを聞くようにする


メディアを選ぶとすればラジオがお勧めです。ラジオは存じのとおり、コメントを読む人の顔が見えません。声のみです。同じ内容のニュースであっても映像がないため情報をそのまま受け取ることができます。さらに、ラジオのパーソナリティーには一定の音域で私たちの聴覚を心地よく刺激することができます。情緒的な音楽を聴くと扁桃体の快情動を刺激できる可能性があるとも言われております。


③皮膚刺激によって自律神経を刺激する


私たちの皮膚は神経ととても深い関係があります。実は神経のもととなる細胞と皮膚の細胞はもともと同じ外胚葉というところから発生しており深い関係にあります。皮膚と神経には皮膚反射というものがあります。皮膚の一部分をたためて行くと、温めた皮膚が赤くなります。また、皮膚を強くたたいたりしても表面が赤くなります。これは皮膚の血管が拡張して赤くなったからです。反対に皮膚が冷えてしまい冷たくなると、血管が収縮して皮膚の色が白く見えます。このような反応はすべて皮膚の反射反応によっておこります。そしてこの反射反応の調節をおこなっているのがやはり自律神経です。針や灸、マッサージはもともと皮膚への刺激によって自律神経を刺激し、血液の循環をよくするなどしてバランスを整えることで効果を示すものですのでお勧めです。


④朝の太陽の光を利用する


私たちの脳は朝の太陽の光の刺激によって扁桃体にとても良い物質を作ることもわかっています。太陽の光を浴びるとセロトニンと呼ばれる神経伝達物質が脳内で放出されます。セロトニンは癒しや幸福感をもたらすホルモンで、うつ病など気分が落ちている病気に処方される薬もセロトニンの分泌を増やす作用を利用しています。実はこのセロトニンは扁桃体が不安定になっている状態を抑える効果があるのです。ある研究によると脳によるセロトニンの代謝回転が日照時間の短い冬季に落ちていたといわれています。一年の日照時間なども知らず知らずに扁桃体へ影響を与えているようです。


⑤匂いを使ってリラックスする


アロマテラピーなど匂いを利用した治療法があります。例えば芳香剤などでよく使われるラベンダーなどは扁桃体の過剰な反応を抑え不安を涼める効果があると言われます。鼻などの植物が醸し出す香りの効果はそのほかにもたくさんありますが、意外なところではウスキーの香りが不安を抑える効果があるとの報告もあります。お酒が飲めない方でも匂いだけ楽しむこともお勧めです。私たちの健康を考える上では実は嗅覚のセンサーをつかって感覚を研ぎ澄ませておく必要があります。特に匂いを常に使った仕事を行うような場合でなければ嗅覚を鍛えるということまでは必要はありません。


⑥便秘に注意する


なかなか便が出なかったりして、お腹が張ったりしているときに不快な気分になったことがある人は多いと思います。お腹の調子が悪いときにたまたま会議中や電車の中でひやひやした経験はありませんか?腸と脳は密接な関係があることがわかっています。腸の環境の変化の状況は扁桃体に伝わり快か不快かの刺激となります。大腸にものがたまっているような刺激を加えた場合に扁桃体の血流増加があったという報告があります。腸から伝わる情報も迷走神経などの自律神経を通じて、扁桃体とやり取りを行います。腸の流れが滞るなどの事態が起こると、不快な刺激となり自律神経の乱れを生じ健康が内輪から損なわれてしまいます。なるべく便秘に注意して生活するように心がけましょう。



<参照、参考>
Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/扁桃体

大脳辺縁系のおはなしhttp://www.akira3132.info/limbic_system.html  

マインドフルネスを理解するための脳科学の基礎【2】感情のコントロールと扁桃mindful-music.jp/amygdala-hijacking/

うつ病の原因|ストレスによる扁桃体(感情)の暴走が招く脳の機能不全

http://www.utu-skill.net/cause/

ヒト扁桃体研究ハンドブック機能・構造・障害  P.J. ウォーレン (), E.A. フェルプス (), Paul J. Whalen (原著)

「扁桃体パワー」が幸せを引き寄せる―“成功脳の秘密がわかった! 塩田 久嗣 ()

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