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2018年6月10日日曜日

自分の持っている健康の意識に敏感に


健康に対して私たちにはさまざまな敵がいます。
その一つに自分の健康への意識というものがあります。

みなさんは、最近、病気で体調を崩す人が多いと感じることはありませんか?

ほとんどの方がここ数日の話題の一つとして病気になった著名人の人たちの話をしたことがあるのではないでしょうか。「あんなに元気そうにしていたのに…。」と話すことがあったはずです。

統計的なところでは、実際に死亡数などは年々増加しています。

もし、気になる方がいた場合は、厚生労働省などがホームページにでていますので閲覧してみると良いでしょう。興味深いことに、ここ10年や20年では病気にかかった人の人数や病気で亡くなった人の人数は増えているのですが、日本人だけで見れば病気の人の割合などは極端には変わっておりません。

私自身もインターネットのトピックスを眺めながら、「OOさんが、入院されたのか…。何の病気になったのだろう。」などと思うことが毎日のようにあります。

そんな時にふと思いなおしたことがありました。それは「ほんとにそんなに病気になる人って増えているのだろうか?」ということです。

たしかに、高齢化の影響で「おじいさん」や「おばあさん」が増えております。ご高齢の方が増えれば、その分病気の人の数が増えているとういう事実はありますが、このような増加の具合を私たちが実生活で感じ取るというにはいささかインパクトに欠けます。

実はこのような印象をいだくのは、私たちに「特有の錯覚」があるからです。
「最近、病気になる人が多いなぁ。」と感じている人はこの「錯覚」に深くはまり込んでいる可能性があり、特に注意が必要です。

著名人を含めて、自分が知っている人が病気になっているように感じること、それは自分の周りに病気の人が増えたのではなく、病気や健康に対する意識に気が付いていない可能性があります。

例えば、小学校・中学校の頃を思い浮かべてみましょう。病気や健康のことを意識する事はほとんどなかったのではないでしょうか? 

クラスに休みがちな友達がいたり、インフルエンザで学級閉鎖になったりという出来事でもなければ、病気に対して不安を抱くことはなかったことでしょう。

活をしているとき、友達と遊んでいるとき、そんなときはなおさら病気のことなど頭の中にありませんでしたよね?クラブ活動の試合の前や試験の直前に風邪をひかないように気を付けていたと反論する人がいるかもしれません。

しかし、あくまで注意を払っていたのは風邪にならないことぐらいでしょう。高血圧や糖尿病といった生活習慣病の心配をしていたなどと言う人はいません。

10代や20代は勉強であれ、仕事や恋愛であれすべてが新鮮な気持ちで行える成長の時代です。

頭の中に病気の不安はありません、ちょっとやそっとのことでは疲れも感じません。体調を考えながら行動をするとういうよりは疲れるまで行動して休むという方も多かったのではないでしょうか。

30代も半ばを過ぎると健康を意識し始めたという人がちらほら出てきます。多くの患者さんに聞いてみても体力の衰えを感じ始めるのは30半ばから40代に入ってからという事実があります。

今まで当たり前に頑張れたことが頑張れなかったり、疲労感を感じるようになったりします。みなさんも、徹夜で遊ぶこともできた10代や20代と比べると、翌日の体調が気にしながら生活をされていると思います。

私たちは常に自分の内面の変化に敏感にならないといけません。いつまでも若い自分がいるわけではないからです。それぞれの世代で気を付けるべきことは違います。病気と距離を置いてなるべくならかかわらずに生活をしたいと考える人は多いです。

病気に関係することは極力避けたいと願います。しかし、すべての病気を避けるという考え方は失敗の原因にもなります。

一生の内でもなるべく決まったときに病気になっておかなければならないものもあることはご存知でしょうか?

例えば、おたふくかぜは子供の時にかかっておかないと、成人男性では不妊の原因になります。EBウイルスというウイルスも小さいときに触れておかないと急に肝炎を引き起こすことがあります。

逆に、高齢になってくると、病気が一つ二つあっても当たり前の状況となりますが、この段階ともなると、病気をすべて排除しようと考えるのは乱暴であります。

すべての病気を避けたいという思いから病院に通い詰めて、内服薬だけが増えていく患者さんはたくさんいらっしゃいます。

病気で体調を崩す人が多くなったように最近感じる方は、自分の体調の変化や年齢的な感覚などに鈍感になっているからです。

周りのことを考えずに空気を読めと叱責されることはよくありますが、健康に関しても同じことが言えます。

自分の健康の意識に敏感になる必要があります。自分の置かれた環境、自分のかかった病気の状況をふまえて「空気を読んで」行動をしないと思わぬ落とし穴が待っています。

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