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2018年6月10日日曜日

病人、病気、病名の違いに注意しないと健康になれない

最近の健康志向の高まりや行政の指導などの影響で、健康診断や人間ドッグなどを行う方が増えてきました。

2010年の国民生活基礎調査によると、20歳以上の人について、過去1年間で、健診や人間ドックを受けた人は64.3%、受けなかった人は32.0%となっており、受けた人はこの10年では最も高くなっております。

また、医療技術の進歩に伴って、特に症状のない段階で病気が見つかり、病院を受診する方が多くなっています。

のような状況において、私たちが病気だと認識している方の多くは、なんらかの「病名」はついていますが、真に「病気」「病人」と呼ぶには元気すぎる方が増えております。

感染症など全身に影響を与えるような疾患と比べて高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病と呼ばれる病気は自覚症状が乏しい病気です。

がん患者さんを例にしても、ほとんどの早期がん患者さんは基本的に無症状であります。進行がんといっても、生活に支障をきたすほどの症状の方は意外と少ないです。

治療中の患者さんと話をしていてもがんよりも風邪を引いたときの方がつらいと冗談をおっしゃる患者さんもいらっしゃいます。

このようなことから私は現代の人たちが抱えている病気が実はそれほど身体に影響を与えるスピードが速いものは少ないのではないかとかんがえるようになりました。

では、症状がそれほどでもないのに体調が悪い人が多いのでしょうか?

『養生訓』という江戸時代の健康書に「心は体の主人である」という言葉が出てきます。

この言葉を借りると、病気とは体の主人である心がバランスを失い苦しんでいる状態とも言えます。扁桃体といってもあまりなじみがないと思いますが、私たちの脳の中で不安や恐怖を担当しているところです。最近、盛んに研究がおこなわれております。

私たちの脳は「恐怖」の具体的な内容をずっと覚えておくことができません。そのかわりに「漠然とした恐怖」という感情だけを扁桃体で記憶していることがわかっています。

この扁桃体の発する漠然とした恐怖が、不安として表出すると自律神経を乱す原因となり、免疫力を下げる要因になるということがわかってきております。

個々の病気を一つ一つ丁寧に診断をして治療すること、それが現代の医学で日々行われていることです。

しかし、病気や病名の印象によっておこる一人ひとりへの対処は不十分と言わざるを得ません。病気や健康に対する不安という内面を見つめなおす必要があります。

扁桃体がそんな不安に対するカギとなる重要な場所です。

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