さまざまなところで健診の有用性などが議論されているところではありますが、医療などの過剰な介入はさまざまな不安をもたらす可能性があります。
古い報告から多方面で引用されているものにフィンランドでの報告があります。1991年にJAMAに掲載されて物議をかもしたようです。
一部を紹介しますと、1974年に40歳から45歳の上級管理職1222人に、612人には、定期検査や栄養管理に加え、運動や禁酒、禁煙などの健康管理を行い、必要なら人には投薬を行ったそうです。残りの610人には健康管理は本人に任せ、介入は行わなかったそうです。実験が始まった1974年から1989年の15年のところで比較したところ何もしない集団の方で死亡者が少なかったそうです。
この報告が出されてから、生活習慣に対する介入などでストレスが増える原因になる、何もしない方がかえって健康である、禁煙、禁酒によってストレスが増えて寿命が縮まる、などの解釈が広まったそうです。
フィンランド症候群という造語が作られて喫煙や飲酒を進める人も出てきたそうです。
研究の結果をもう少し詳しく見てみると
総死亡者数は介入群で67人、非介入群では46人。心疾患死は、介入群で34人、非介入群で14人。その他の血管死は、介入群で2人、非介入群で4人、がん死は、介入群で13人、非介入群で21人。事故、自殺、他殺などは介入群で13人、非介入群で1人、(その他の死亡が11人)だったそうです。
心疾患は介入群で多く、がん死は非介入群の方が多かったようです。
解釈の仕方が難しいようですが決してストレスを抱えないようにお酒やたばこ進めている論文ではないことは言えると思いますが、医療介入群で死亡率が高いという点は見過ごさない方が良さそうです。内服薬の副作用の可能性も指摘されているようです。
過剰な検査や過剰な治療が悪いというのは共通の認識と思われますが適量のラインを引くというのは難しいところ
国内で行われている健診などは過剰なものではないと思いますが、人間ドッグなど高額な費用を投じてやみくもに検査をしすぎるのは良くない場合もあります。
参照
Strandberg,T.M. et al. Long-term mortality after 5-year multifactorial
primary prevention of cardiovascular diseases in middle-aged men.JAMA,266:1225-1229,1991.
下記のサイトでも詳しく紹介されています。
「フィンランド症候群」の真実
http://web.nosmokeworld.com/finland/index.shtml
https://www.kinen-sensei.com/タバコ問題ああ言えばこう言う/フィンランド症候群のうそ/
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