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2018年6月9日土曜日

音楽を聴いて扁桃体に活力を

<目次>
1.MRIなどの技術の進歩で扁桃体の働き見えてきた
2.音楽は扁桃体を活性化する
3.不快な音を聞くと扁桃体が過敏になる

における扁桃体の研究は簡単ではありません。

扁桃体は側頭葉の内側という深い部分にあります。人の扁桃体は切り取ったり壊したりして反応を見るわけにはいきません。

けがや病気の影響で、たまたま扁桃体の機能がなくしてしまった人での研究が行われていたようです。

扁桃体はもともと病気が起きやすい場所ではありませんので研究の対象となる人が少なく動物実験などが中心でした。

1.MRIなどの技術の進歩で扁桃体の働き見えてきた


頭の中の構造を見るために放射線を使うCT(Computed Tomography)検査というものがあります。さらに、磁力の力を使って身体の中を観察するMRI(magnetic resonance imaging)という技術が急激に進歩してきました。

MRIがさらに進化を遂げてfMRI (functional magnetic resonance imaging)というものが登場ました。

通常のMRIで観察できる細かい構造に加え、脳の働きを目で見ることができるようになったのです。MRI検査は磁力を使っているだけなので身体を傷つけることもありません。

脳の血流の変化が神経の活動と深いかかわりがあることは知られていましたが、人間の扁桃体に刺激をしながら血流がどのように変化するかといった研究ができるようになったのです。

「恐怖の表情をした顔がうつっている写真」を見せて、その間の脳の活動をfMRIで測定する実験が行われました。この実験では、恐怖や不安の感情により扁桃体が反応を示しました。

2.音楽は扁桃体を活性化する?


音楽も扁桃体に影響あたえる可能性があることが示唆されています。

音楽療法が実際にも多くの施設で行われています。神経学的および精神医学の臨床に有用という研究が多数あります。

Blood 及び Zatorre らによって2002年にPET検査をつかっておこなわれた検討では、情緒的な反応があるクラシックなどの音楽を聴いた被検者の脳血流パターンの分析がおこなわれました。

感情の調節に関与することが知られている腹側線条体、中脳、扁桃体、前頭前野、および腹側前頭前野皮質が活性化されたそうです。

このように音楽は扁桃体に対して刺激を与える可能性があります。

3.不快な音を聞くと扁桃体が過敏になる


反対に、音の効果によって不快を感じてしまうというほうこくも多数あります。

例えば、歯科治療を行っている患者さんは処置に関係したネガティブな感情を起こすことがあるということに関して行われた研究があります。

超音波歯石除去器、吸引器が起こす不快な音と脳の関係について、MRIを使って行われた検討です。

23~35歳の7名の被験者に対して、歯科治療中に歯石除去用のハンドピースと唾液の吸引器の超音波振動による聴覚刺激行ったときにMRI画像によってどのような変化がおこるか検討しました。

この検討では大脳皮質が不快な聴覚刺激に対しておきた興奮を観察するために、MRIの画像撮影中もあらかじめ録音された歯科治療器具の音声を聞かせて行われました。

その結果、被験者の脳においては扁桃体と前頭前野皮質において興奮が観察され、被験者に不快感を起こしたことが示唆されました。

歯科治療の処置によって不快な感情が経験されたたということのため、歯石除去用のハンドピースなどの歯科治療による不快な聴覚刺激は、不快な感情を起こすようです。

このように音の刺激は私たちを心地良くすることもあれば、不快にすることがあります。

なるべく、心地よい音楽を聴きながら、不快な音に出会わないようにする必要があります。

参照

Limb CJ. Structural and functional neural correlates of music perception. Anat Rec A Discov Mol Cell Evol Biol. 2006 Apr;288(4):435-46.

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