目次
1.原因や特徴を抑えておけばかぜは怖がらなくていい
① かぜはウイルスによる病気です
② かぜの症状について抑えておくべきことが一つある
③ かぜのような症状があってもかぜとは違う病気がある
2.かぜとインフルエンザって違うの?同じなの?
① インフルエンザには専用の薬がある
② かぜなのに抗生物質を処方されたことがあるのはなぜか?
3.かぜの予防をするために知っておくべきこと。
手洗い&マスクに緑茶が効果的?
① かぜの予防方法には3つの防御ポイントがあります
② 手洗いやマスクの着用を行うことは重要です
③ かぜやインフルエンザは緑茶で予防しよう
1.原因や特徴を抑えておけばかぜは怖がらなくていい
かぜは鼻やのどといった場所に炎症がおきることで、熱が出たり鼻水が出たり、だるさが出てしまう病気の総称です。
かぜといっても症状や経過にばらつきがありますし、かぜに似たような症状を起こす病気がまぎれていることがあります。
かぜと並んで厄介なのが冬場に日本各地で猛威をふるうインフルエンザです。
そもそもインフルエンザはかぜじゃないのか?
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はかぜやインフルエンザというごくありふれた病気をとりあげます。
まず、かぜとインフルエンザの違いや特徴を説明し、最後に予防方法についてお話ししようと思います。
かぜは子供では実に平均で年に6~8
回,大人では 2~4回程度かぜになると言われています。
かぜをひいても、たいていは自然に治ってしまいますよね?
病院には行かずに部屋で寝ているだけでかぜを治してしまっている人もいるのではないでしょうか。
アメリカではかぜによる影響でのべ2200万日ほどが学校を欠席している計算になるとの報告もあります。
また、日本ではかぜに1回かかることでの生産に与える損失が平均 4000円程度になるそうです。
① かぜはウイルスによる病気です
あまり意識されることはありませんが、かぜはウイルスが原因でおこります。(正確にいえばほとんどのかぜはウイルスが原因です。)
原因はウイルスなのですがその種類はとても多くのものがあります。
ウイルスの名前を見てもなじみのないものが多いと思いますが、以下にかぜの原因となるウイルスをご紹介します。
ライノウイルス 30-40%
コロナウイルス 10%
RSウイルス
パラインフルエンザウイルス
アデノウイルス
②かぜの症状について抑えておくべきことが一つある
かぜの原因がウイルスであるとわかったら、押さえておきたいことが一つあります。
それは、かぜは症状が同時に複数でてくるということです。
みなさんもかぜになったときの症状を思い浮かべてください。
鼻水がでたり咳や熱が出たり、のどが痛くなったりといろいろな症状を思い出すことができるのではないでしょうか?
実は、このようにいろいろな症状を起こすことがウイルスによる病気の大きな特徴で、かぜの症状が多彩な要因となります。
このことから、熱、せき、痰、鼻水、のどの痛みなどの複数の症状がある場合は、ウイルスが原因であり、かぜであると考えることができるのです。
ウイルスは非常に小さな微生物です。私たちの体の中に侵入すると、全身のさまざまな場所に影響を起こしやすいことが特徴です。
つまり、かぜの症状が出た場合は症状が多いかどうかに注目する必要があります。
それでは、症状が少ない場合はどうなのでしょう?
たとえば体の1か所の症状だけが強い場合は、ばい菌が繁殖するような病気の場合があります。
これは、ばい菌などのいわゆる細菌感染と呼ばれるものの可能性があります。
細菌による場合、初期のころは体の全身にいきわたらずに、特定の場所にとどまる傾向があります。
このため、全身症状が出にくく一部の症状が目立ちます。
例えば、肺に細菌の炎症が起きた場合は細菌性肺炎などとよばれますが、肺に炎症がありますので咳や痰は出ますが、鼻水などが出てくるということはまずありません。
このように、一部に偏った症状がある場合は細菌による病気の可能性があります。
熱、鼻水、咳、のどの痛みといった症状が複数ある場合は普通のかぜだと思ってよいのですが、咳だけもしくはのどの痛みだけといった場合は注意をする必要があります。
③かぜのような症状があってもかぜとは違う病気がある
ここで、かぜのようでかぜではない病気についても説明したいと思います。
以下にあげるような病気は血液検査などが有効な場合もありますので参考にしてください。
アレルギー性鼻炎
インフルエンザ
急性副鼻腔炎
扁桃炎
咽頭炎
急性喉頭蓋炎
百日咳
急性気管支炎
肺炎
結核
アレルギー性鼻炎が疑われる人
鼻炎つまり、鼻の炎症が原因の病気です。症状としては鼻づまりがメインとなります。かぜのように咳やのどの痛みをおこすことはありません。
花粉症のように季節によって繰り返すことも特徴の病気です。
インフルエンザが疑われる人
後述しますが、インフルエンザウイルスにかかることで起こる病気です。鼻水やのどの痛みだけでなく,39度を超えるような非常に高い熱や筋肉痛や関節痛といった全身にわたる症状を引き起こします。
鼻汁やのどの痛みがあまりはっきりしないこともあります。インフルエンザの検査キットがありますので速やかに診断されることもあります。
急性副鼻腔炎が疑われる人
おでこや頬骨の裏などの空洞を副鼻腔と呼びます。その、副鼻腔に炎症がおきると副鼻腔とつながっている鼻腔、すなわち鼻の炎症が起きます。
鼻づまりにくわえて、おでこや頬骨の痛みなを起こすことがあります。最初にかぜにかかった後に副鼻腔炎にかかる人もいるため注意が必要です。
扁桃炎、咽頭炎が疑われる人
のどが痛いという症状がメイン。鼻水などの鼻の症状がないことも特徴です。A群β溶連菌という細菌が原因のことがあります。
次にあげるような症状の方は注意が必要です。
扁桃腺に白い付着物がついている
首のリンパ節がはれていて痛みがある
発熱がある、咳が少ない
急性喉頭蓋炎が疑われる人
発熱と強いのどの痛みがみられます。口が開きにくくなることもあります。
息切れのような呼吸になることがあります。空気の通り道である気道が狭くなり、呼吸困難をおこし、緊急な対応が必要になる場合があります。
百日咳が疑われる人
しつこい咳が発作的に出てきたり、長くせき込んだ後に、ヒューという高い音を立てながら息を吸い込むような症状を出します。
せき込んだ後に吐いてしまうこともあります。子供の場合は上述したような症状がわかりやすく出ることもありますが、大人の場合では症状に気が付きにくいことがあります。
急性気管支炎が疑われる人
発熱や咳が症状の中心となります。咳症状が強く、長期化することがあります。かぜとの違いは難しいですが、かぜが鼻詰まりやのどの痛みはおこりにくい病気です。
肺炎が疑われる人
細菌などが肺に炎症をおこす病気で、咳の症状が主な症状です。熱が出たり、痰が多く出ることもあります。
結核が疑われる人
現在の日本ではまれな病気です。咳や発熱の症状がありますが、緩やかに進行します。咳や発熱などの症状が、2週間以上も症状が続くような場合は検査を行うべきでしょう。
あまり症状がきつくなった場合は入院が必要になる場合もあります。
入院が必要そうなひとでも家で我慢してしまい、とても症状がわるくなってから病院にくることがあります。
年齢が高く、食事があまり食べられない日が続いている人やだるさが強く日常生活がままならい人などはあまり無理せずに病院に早めに相談しましょう。
2.かぜとインフルエンザって違うの?同じなの?
インフルエンザはかぜの原因と少し違う病気です。
先ほどもでてきましたが、かぜに似たような病気で、インフルエンザというものがあります。冬場などに流行するインフルエンザウイルスの感染症です。
インフルエンザウイルスにかかることで起こる病気で、鼻水やのどの痛みだけでなく,39度を超えるような非常に高い熱をだします。
通常のかぜの場合であれば39度もの高熱が出ることはあまりありません。
また、筋肉痛や関節痛といった全身にわたる症状を引き起こすのも特徴的です。
通常のかぜは検査によって診断することが難しいのですが、インフルエンザウイルスについては鼻の奥の鼻水などを使って数分ほどで検査を行うことができます。
①インフルエンザには専用の薬がある
さらに、インフルエンザウイルスにだけ効くような薬があることも特徴です。
タミフルやリレンザといった薬を聞いたことがあるかもしれません。
タミフルは異常行動が起きてしまうのではないかということで一時期メディアを騒がせたこともあります。
最近では、イナビルという飲み薬ではなく吸い込む薬や、ラピアクタという点滴で治療を行う薬も出てきましたのでいろいろと治療の方法の幅が広がっています。
インフルエンザの薬
タミフル 内服薬
リレンザ 吸入薬
イナビル 吸入薬
ラピアクタ 点滴注射
②かぜなのに抗生物質を処方されたことがあるのはなぜか?
かぜに対する治療方法は対処療法と呼ばれる治療が行われます。
咳が出ていたら咳止め、痰が出ていたら痰切り、熱が出ていたら熱冷ましといった治療方法です。
基本的な治療方針は症状を抑える治療をおこないながら、自然に回復するのを待つことです。
かぜはウイルスが原因でおこりますので、多くの場合、抗生物質は効きません。
かぜに抗生物質が効かないことは病院の先生も十分に分かって治療をしているのですが、患者さんの中には抗生物質で良くなると信じている人もいます。
たとえば、以前に抗生物質を飲んだら早く治ったような記憶があると訴える人がいると、お医者さんもついつい抗生物質を処方してしまうことがあります。
このように、私たちがかぜの症状で病院やクリニックに行くと抗生物質を処方されることは今でも十分にあるのです。
かぜの中には、経過の中でばい菌によるとおもわれる黄色の痰がでるなどの症状が重なってくる方がいます。
また、高齢の患者さんはかぜをこじらせると肺炎につながるのではないかという懸念から抗生物質が処方されることもあります。
最近では黄色の痰はウイルス感染による自然な症状の一つであるともいわれています
やはり抗生物質はかぜに対して必ずしも必要な治療とはいえません。
病院の先生にお薬をもらうときには病名や治療方法をしっかりと確認しておくと安心です。
3.かぜの予防をするために知っておくべきこと。
手洗い&マスクに緑茶が効果的?
かぜやインフルエンザのことに関して詳しく説明してきましたが、引き続いてかぜやインフルエンザの予防方法について説明を加えたいと思います。
①かぜの予防方法には3つの防御ポイントがあります
ウイルスやばい菌を体に付着させないための防御
ウイルスやばい菌を細胞の中に侵入させないための防御
ウイルスやばい菌が体に入ってきた場合の防御
まず、ウイルスやばい菌を体に付着させないための防御としては手洗いやマスクなどによりばい菌やウイルスが体につくのを防ぐことができます。
次に、ばい菌やウイルスを細胞に侵入させない方法になりますが、これは私たちが生まれつき持っているものなのですぐに鍛えると行くことは難しいところです。
同様に、免疫の力をつかって防御する方法もインフルエンザのワクチン接種などを行うなどの方法がありますが、病院にお願いするよりほかはありません。
そこで私たちが生活をしていく上で、意識して行わなければならないことは、ウイルスやばい菌を付着させないように手洗いやマスクを着用することです。
②手洗いやマスクの着用を行うことは重要です
手洗いは小学校や幼稚園から教えられていることですが、ついつい忘れがちになってしまうこともありますよね。
手洗いはかぜに対して比較的高い予防効果が認められている手段です。また、マスクについてもかぜの予防に限定的ではありますが、効果があったとする報告があります
手洗いは侮らずにこまめに行うことをおすすめします。
③かぜやインフルエンザは緑茶で予防しよう
手洗いやマスクだけでは不安である人にはもう一つ手軽にはいじめることができる方法をご紹介します。
最近、緑茶によるかぜの予防が可能ではないかという研究がいくつか報告されております。
緑茶で予防をする方法の研究は大きく分けて2種類あります。
緑茶でうがいすること
緑茶を飲むこと
残念なことに緑茶を飲むだけでの予防効果ということに関しては現在のところはっきりとした検討はできていません。
一方、うがいについてはいくつかの検討があります。
2歳から6歳までの子ども約2万人を対象にして、水、塩水、アルカリイオン水、緑茶のそれぞれでうがいをするグループ に分けて分析をした検討があります。
その結果、緑茶でうがいをしたことで熱を出す子供の減少率は7割程度あったそうです。その他の方法と比べても減少率が高かったようです。
かぜの原因となるばい菌やウイルスは主に鼻から侵入して鼻の奥~のどの上側に達してかぜを発症することが多いと考えられています。
ウイルス については,鼻へ侵入してから感染するまでの時間は数時間程度と考えられています。
鼻に侵入してくるウイルスに対して口の中を中心としたうがいで予防になるのかと思う人がいるかと思います。
うがいは複数の研究で効果が実証されておりますが、まだ詳しいメカニズムまではわかっておりません。
水道水のうがいの効果について、急性上気道感染症(かぜ)にかかる人の割合が36%減少したとする研究があります。
この研究では、ポビドンヨード剤(いわゆるイソジンうがいです。)を用いたうがいを行ったグループと通常のうがいを行ったグループでは差がなかったとの報告もなされています。
イソジンの成分そのものがどの程度かぜの予防になっているかということは不明ではありますが、うがい自体の効果はあると考えて、うがいは積極的におこなうべきでしょう。
イソジンは医薬品ですので病院で処方をしてもらうか、薬局で購入しなければいけませんが、緑茶については日本のご家庭であればおいてあると思います。
そういった観点からみると緑茶うがいは日本人のかぜ予防には最適です。
緑茶うがいの効果は緑茶に含まれるカテキンが関与していると考えられています。
茶から抽出されたカテキンには,インフルエンザを始めとするウイルスや肺炎球菌などのばい菌を不活化する作用があります。
緑茶を飲むことでのかぜの予防効果についてはまだはっきりとしたものがありません。
ただし、抗酸化作用をもつ有名な物質であるポリフェノールを飲むことでかぜの予防につながるという研究があります。
カテキンも抗酸化物質でもありますので、同じような効果が期待されるところです。
緑茶成分として、カフェインやビタミン類などが含まれますが、カテキンほどの抗ウイルス作用を示す物質はないようです。
いかがでしたか?
かぜやインフルエンザの特徴を抑えておけば、体調が悪くなっても慌てる心配はありませんよね。
皆さんも緑茶の働きを使ってかぜの予防を試してみてはいかがでしょう。